桜が咲く頃に、私は

「え、ちょ……マジかよ。俺が死んだって? ありえないだろ……夢じゃないのかこれ」


天川空と呼ばれた男の人は、この状況が信じられないようで、目が泳いでいるのがわかる。


私も……普通の感情を持っていたら、そんなふうに慌てふためいていたかもしれない。


いや、実際に頭の中は全力でパニックだし、この状況を理解しようと必死になっている。


だけど、生きる意味がわからなかった私にとっては、この天使の言葉は素直に受け入れることが出来た。


まだよくわかってはいないけど……そう思うしか他に方法がないんだと。


「私とこの人しかいないってことは……あの子は大丈夫だったってこと? だったら……まあいいや。天国ってのに連れてってくれるんでしょ? 早く連れてってよ」


天使に手を差し出すと、天使は首を横に振って。


『そう……するつもりだったのですが、どうやらあなた達の命が尽きた時、どちらかわからない余命が一年、残っていたみたいなんですね。本来ならこういうことはありえないのですが……いります?』


「は?」
「は?」


そのあまりにも軽い言葉に、私も天川も顔をしかめて天使を睨み付けた。


「おい、一体どういうことだよ。つまり……俺もこの子も死んだけど、どちらかはトラックに轢かれて死んで、どっちかは生きていたってことか? いや、生きてても余命が一年ってことは……」


どっちにしても、一年後には死んでいた……ってことか。


天川はそう言いたいのだと理解出来た。