桜が咲く頃に、私は

「夢ちゃん、大丈夫? ごめんね、騒がしくて」


私が尋ねると、夢ちゃんは小さく頷いて。


「うん……大丈夫。ちょっと怖かったけどさ。でも、私はいいから……」


夢ちゃんの視線が、うずくまっている深沢に向けられる。


そうだよね。


今回のことで一番傷付いたのは深沢なんだよね。


いつも、わけのわからない自信で満ち溢れていて、全く空気を読まずに発言して、違う空気を無理矢理作り上げる深沢。


「やー、助かったわ天川。それにしてもあんた、パンチを受け止めるとかやるねぇ。何? もしかして昔はヤンチャだったってやつ?」


翠が空の背中をバシッと叩いて嬉しそうに尋ねると、小さく呟く。


「あ、いや……現場仕事のおかげかな」


なんて話を聞きながら、私はどうすべきなのかを考えていたら……広瀬が深沢に駆け寄った。


深沢の前で屈んで手を差し出したのだ。


「深沢さん、裏で休もう。ほら、手を貸すからさ」


広瀬は……どれだけ優しいんだろう。


いつも深沢にいびられて、パシリにされていたのに、どうしてそんな優しい顔を向けられるんだよ。


そんな広瀬を誇らしく思うと同時に、私にだけ優しいわけじゃないんだと、悲しくも思ってしまった。