桜が咲く頃に、私は

「も、申し訳ございません、申し訳ございません」


普段はクラスメイトに高圧的な態度を取っている深沢が、必死に頭を下げて謝っている。


「あぁ? ブタ語じゃなくて日本語話せよ! ブヒブヒ言われてもわかんねぇよ! おい、ペットのブタが逃げてんぞ! しっかり首輪付けておけよ!」


「ほら、ブタなら床から直接飲んでみせろよ。俺が300円も出してお前に飲ませてやるからよ」


そう言って、紅茶を床にこぼした男。


ニヤニヤしながら深沢の髪を掴んで、無理矢理に床の紅茶を舐めさせようとしていた。


「あいつら……」


今にも飛び出しそうな翠の前に、手を広げて制止させた私は、紅茶のペットボトルを一本手にして男達に近付く。


そして、笑う男の頭の上で、キャップを開けた紅茶をひっくり返して、頭にたっぷりと紅茶を飲ませてあげた。


「申し訳ございませんご主人様。ご要望通りの紅茶烈伝でございますが、何か問題がありましたでしょうか?」


「冷てっ! おま……何しやがるこの野郎!」


驚いた男が振り返って立ち上がろうとしたけど、私はそれよりも早くに紅茶まみれの男の髪を掴んで椅子ごと後ろに引き倒して。


仰向けになった男の顔を思い切り踏み付けた。


「何しやがるって? それはこっちのセリフだ馬鹿野郎。客って立場を利用して、私のクラスメイトをいじめてんじゃねぇ! 殺すぞ!」