桜が咲く頃に、私は

「夢ちゃん……と、空」


「誰? 知り合い?」


足を止めた私と、夢ちゃん達を見て、広瀬が尋ねる。


「うん。ちょっと……と言うかかなりと言うかね」


心配させないようにと思ったけど、どんな言葉なら心配しないのかがわからなくて、自分でもどう言えば良いか。


「もしかして、この人が前に言ってた彼氏? なるほどね。優しそうだし、早春を大切にしてくれそうだ。俺は天川空。早春の……知り合いだ」


夢ちゃんが話す前に空が私達に近付いて、広瀬に手を差し出す。


「あ、広瀬琥太朗です。どうも」


にこやかに握手をする二人の後ろで、夢ちゃんが不思議そうに首を傾げていた。


でも、夢ちゃんは何も言わずに話を合わせて。


「天川夢です。早春さんはお姉さんみたいな存在です。よろしく」


にっこりと笑って、広瀬も夢ちゃんに笑顔を返した。


「い、いや、てかなんで来てるわけ? 今日が学校祭って言ったっけ?」


「アホか。お前の学校がわかれば、いつが学校祭がくらいわかるだろ。夢が行きたいって言うから、暇つぶしで来てみたら……まさかメイドかよ」


空がそう言って、私はメイド服を着ているのを思い出して慌てふためいた。


まさか、メイド服姿を見られるなんて。