桜が咲く頃に、私は

「ふおおおおおっ! おかしい! これは悪夢なの!? 皆連絡先を教えてもらってたりするのに、どうして私は教えてもらえないわけ!? 可愛すぎて気後れするのはわかるけどさ! それにしても……」


指名のない深沢が、不機嫌そうにフゴフゴ言っているけど、まだその原因に気付いてないのかな。


「後夜祭に誘われちゃった。終わったら何人かで集まってカラオケ行くんだって」


「私は西高の人に、明日遊ぼうって言われたから行くんだぁ」


そんな深沢の前で、キャッキャと騒ぐクラスメイトに、ますます不機嫌になる。


「あー、深沢ヤバいねぇ。今に八つ当たり始めるよあれは」


「あいつ、私を目の敵にしてるから面倒くさいことになりそうだよね」


不機嫌になるのは勝手にしてくれと思うけど、その矛先が私に向くのは勘弁してほしい。


相手をするのも面倒なんだから。


「んー、じゃあ、抜けちゃったら? 待ってなよ。広瀬呼んで来てやるからさ」


「え? いや、翠? そんなことしなくても……」


私が言うより早く、カーテンで仕切られた「キッチンスペース」とは名ばかりの、飲み物を移し替えたり、軽食をレンチンする所に入って翠が広瀬を連れてきた。