桜が咲く頃に、私は

〜空の家~


「いや、お前さ……何の連絡もなしにいきなり来て、今日泊めろって……こっちの都合も考えろよ」


部屋に上がり込んで窓際に座っている私に、お風呂から上がった空がため息混じりに文句を言う。


連絡せずに来たのは悪かったけどさ、なんか頭の中がぐちゃぐちゃで何も考えられなかったんだ。


「ごめん……でも、ここしか行くところがなくて」


体育座りで、膝に顔を埋めて小さく呟くと、夢ちゃんが私を庇うように。


「もう! 優しくない! お兄ちゃんは優しくないよ! 見ればわかるでしょ。早春さん、何かあったんだよ。だから、今日は私のお客さんとして泊まってもらうからね」


背中をさすって、そう言ってくれた。


「……ま、手間が省けて良かったけどさ。何か食ったのかよ。今まで遊んでたのか?」


「食べてない。学校祭の準備してて……ごめん」


いつもと様子が違うと察してくれたのか、夢ちゃんは何も言わずに台所に向かって、空は私の隣に腰掛ける。


「何か……あったのか? もしかしていじめられてたりする?」


小さく、台所の夢ちゃんには聞こえないくらいの声で尋ねる空に、私は首を横に振った。