桜が咲く頃に、私は

学校を出て、翠と広瀬の三人で夜の街を歩く。


「広瀬、あんた殴られた頭は大丈夫なの? 凄い音がしたけど」


「いや、すっごい痛かったよ。頭が割れるかと思ったし、目から星が出るかと思ったよ。ねえ、本当に大丈夫?」


頭を向けた広瀬に、私は触って確認するけど……怪我はないようで安心した。


「頭が割れたらそんなこと言ってらんないよ? ねぇ、早春」


「まあねぇ。雲の上の世界が見えるからね。やたら長い階段と、後はポンコツ天使かな」


ポンポンと広瀬の頭を撫でて、晩御飯をどうしようかと考えながら歩く。


「さてさて、気の利く私はここらでお邪魔しますかね。たまには放課後も二人でいれば?」


ぼんやりと考えていると、翠が変な気を回したようで、いつもなら私と行く道とは違う道で帰って行ったのだ。


別に……邪魔とは思ってないのに。


二人でいたいなら二人でいるから。


あ、でももしかすると、私じゃなく広瀬に気を遣ったのかもしれないか。


「……広瀬さ、さっき私を庇ってくれたんだね。ありがとね」


「うん。立ち向かうことはまだ出来なくても……桜井さんを守ることは出来た。小さくても一歩、僕は踏み出せたかな」