桜が咲く頃に、私は


その日の夜、隣で寝ている夢ちゃんが泣いているのに気付いた。


いつもならもう寝ている時間。


なのに、嗚咽混じりに身体を震わせて。


「お兄ちゃん……なんで……なんで死んじゃったの……」


私に気を遣ってるのか、小さな声で泣いているけど……聞こえるんだよね。


「……夢ちゃん。おいで」


そう言って夢ちゃんに背を向けると、しばらくして布団に潜り込んで。


ギュッと背後から私を抱き締めて、今度は遠慮せずに泣き出した。


「私、一人になっちゃったよ! お父さんもお母さんもお兄ちゃんもいない! なんで私だけ置いて行ったの! 私も皆の所に行きたいよ!」


堰を切ったように飛び出した言葉と涙。


私は身体に回された手を握ることくらいしか出来なかった。


こんな時、私はどんな選択をすればいいんだろう。


空が言っていた、優しい選択ってなんだろう。


私自身が参っているから、そんな選択が出来る自信がないよ。


「ねぇ夢ちゃん。もういっそさ、二人で死んじゃおうか」


「え?」


ピタリと泣くのをやめて、私の言葉に反応した夢ちゃん。


本当、何を言ってるんだろうな、私は。