桜が咲く頃に、私は

中学からの友達で、いつも一緒にいた翠。


二人でいるのが当たり前で、お互いにお互いのことなんてわかってる。


そう思っていたけど、まさか翠がそんな風に考えていてくれたなんて思わなかった。


「ありがとね。なんか、改まってこういうこと言うのは照れ臭いけどさ。翠がいたから、私は楽しく生きられたんだよ」


「……もう、しなくて良いでしょ。早春はさ、天川と毎日キスしてるから、それが幸せで余命が余計に減るわけでしょ? だったらそんなキス辞めちゃってさ、一日でも長く生きようよ!」


「ダメなのわかってるでしょ。私と空は、一日一回、10秒以上キスしないと死ぬんだって」


翠にはしっかりと説明したから、それがわかっていないはずはないのに。


「だ、だったら、天川と別れれば良いんだ。そうすれば幸せなんか感じなくなってさ……」


「いくら言葉で別れるって言っても、心は騙せないんだよ。私は空が好きだし、それに後悔はしてないから」


翠が友達で良かった。


別れたとしても、広瀬を好きになって良かった。


最後に空を好きになって良かった。


空っぽの私に、こんな感情を持たせてくれたから。