桜が咲く頃に、私は

睡眠は死の練習……なんて、どこかの誰かが言っていたのを聞いたことがある。


突然意識がなくなり、暗い闇へと落ちる。


一人で逝くのがあまりにも寂しいから、その瞬間まで夢が付き添ってくれる。


死を目前にした空だから、眠るのが怖いと思い始めたのかもしれない。


毎日、死の予行練習をしているのだから。


数字が減っていないところを見ると、私が手を握るよりも、感じている不安の方が大きくて、幸せを感じるに至らないのかな。


寝息を立てて、手から力が失われた。


私は起こさないように、静かに立ち上がって部屋の隅にあるギターに目を向けた。


「……あのギター、どうして直しもせずに置いてあるんだろ」


さっきも空がチラッと見ていたけど、やっぱりバンドをやっていた思い出が詰まっているから手放せないんだろうな。


そう思ってギターに近寄り、そっと触れてみる。


私達と一緒に事故に遭い、壊れたギター。


どんなギターなのかなと、興味本位でファスナーを開けて中を見てみると……ネックが折れて傷付いたギターが出て来たのだ。


その様子から、あの事故がどれほど凄まじかったのかがわかる。


だけど、私が目を奪われたのはそこじゃなかった。


「真っ赤な……ギター? あれ? これって」