しゅんとしちゃって、雨に濡れた仔猫みたいでほっとけない。 私は昔から悠のこの表情に弱い。 そんな顔しないでよ。私が悪者みたいじゃん。 いたたまれなくなって、箸を持つ悠の手を掴み、思い切って生姜焼きを口に入れた。 「ほらね、言ったでしょ。恥ずかしかっただけで、嫌ってことじゃないんだよ」 「……うん、本当だ。顔、真っ赤だね。ふふっ」 誰のせいだと思ってるの! 耳まで赤くなっているのを誤魔化すように睨んでも、悠はニコニコしながらのんきにお弁当を食べるだけだった。