願わくば溶けて




尚も学生証をこちらに見せてこようとする女の子。



「大丈夫です!もう疑ってないです! 微塵も、これっぽっちも!」



それを全力で拒否する僕。


「でも、でも」



「本っ当に疑ってないんで!大丈夫です!」



合意とはいえ女子高生の個人情報を見ちゃったとか罪悪感がすごそうだからやめて欲しい!



僕はそんな思いで女の子の行動をなんとか止めさせようとする。



「…… わっ、分かりました」



そうしてそんな思いが届いたのか、届いてないのかは定かではないが、女の子がようやく学生証を下ろす。




その行動にホッと胸を撫で下ろす。



「…… えっと、じゃあこの辺で失礼します」



「あっ、はい。すいません!失礼しました」



もうこれ以上関わりたくない。



僕はその一心で家の扉を開けた。