第一印象は、チャラそうな人。

一度も髪を染めたことのない私からしてみれば、茶髪ってだけで遠い世界の人。
東京に来て仲良くしている大学の友人も、サキさんも三園さんも、みんな黒髪だから、余計に。


白いTシャツに、黒いスキニー。
そしてアクセサリーをいくつか。
いわゆる韓国系ファッション?

おしゃれには疎いからよくわからないけれど、インスタでよく見る、遠い世界の、おしゃれさん。

「あ、私もう行かなきゃ…
今月もありがとうね、かほちゃん!」
サキさんと彼が話しているところをぼ〜っと眺めていると、肩を叩かれそう告げられる。

「あっ、はい!!こちらこそありがとうございました!」
サキさんからお代を受け取り出口までお見送りする。

突然のことで頭が回らなくて、
店のドアが閉まった時にわかったことは、

初対面の彼と、いきなり2人きりにされた、という事実。


「店員さん、このお花をください」
彼は一輪の花を手に、カウンターで私のことを呼んだ。



「はじめまして」
お洒落なBGMが流れるカフェで、目の前に座るのはニコニコと笑う彼。

「はは、は、はじめまちて!」
「〜〜〜っ!かぁいいね、君」

………緊張のあまり、噛んでしまった。

片手で顔を抑えて笑う君は、優しい顔をしていた。

ほっぺたが、あつい、、恥ずかしい…

「僕の名前は、渡邉 宏樹(ワタナベ ヒロキ)。
よろしくね」
ニコッと笑ったイケメンくんは、手を差し出した。

「花島香穂です。
よ、よろしくお願いします」
差し出されたその手を握って名乗ると彼は満足したように笑った。