この政略結婚に、甘い蜜を

謎の圧力を感じ、華恋の背中にゾッと寒気が走る。華恋は逃げられないと悟り、黙ってワンピースを着ることにした。

そこからは、地獄のような着せ替えタイムだった。一着着ると、零は「やっぱりそういう服の方が可愛いよ!じゃあ、次はこれを着てね」と言い、次々とフリルやレースのついた可愛らしい服を持って来るのだ。華恋は断れず、渡された服を着ていく。

「うん、これも買おうね」

零が似合っていると判断したものをカゴに入れていくと、店員が「こちらもお似合いかと思います」とまた服を手に取ってやってくる。可愛らしいスカーフのついた白いブラウスと薄い水色のフレアスカートである。

「こちら、新作でして」

「へえ、スカーフ可愛いね。華恋、次はこれを着てみて」

「は、はい……」

着せ替え人形のように何十着も試着をさせられ、華恋はクタクタである。山のようにカゴに入れられた服はいつの間にか零がカードで会計を済ませており、華恋の顔は真っ青になる。このお店は、可愛いブランドとして人気だが、高いお店なのだ。