「お待たせ、五百雀くん」

華恋が窓の外を見ている傑に声をかけると、傑は「遅かったなぁ」と言いながら華恋の方に目を向ける。刹那、華恋につけられたアクセサリーの数々を見て傑は固まる。

「自分、そのアクセサリーどうしたん?」

傑に言われ、「プレゼントされたの、夫から」と華恋は恥ずかしさを覚えながら答える。出かける前、買ってもらったアクセサリーを全て零につけられ、「これをつけて行かなきゃ、家から出さないよ」と言われたことを思い出してしまう。

「ちょっとお手洗い行ってくるわ」

華恋が椅子に座り、メニュー表を開いた時、傑は少し顔を青白くしていた。体調でも悪くなってしまったのかと華恋は心配になる。

「顔色悪いけど、大丈夫?」

「うん、平気や。先にメニュー決めといて」

華恋を一人残し、傑は少しフラつきながら歩いていく。華恋はその背中を見えなくなるまで心配そうな目で見た後、胃に優しいメニューはないかとメニュー表に目を向けた。