この政略結婚に、甘い蜜を

『今度の土曜日の夜、バーに一緒に行かへん?今度こそ俺に奢らせてぇや』

(土曜日……零さんは確か出張だったっけ……)

夜に外出することを、零はあまり快く思っていない。外出をするのならこの日しかできないだろう。

『仲直りの証、ちゃんとさせてぇや』

傑から送られてきたメッセージにクスリと笑い、華恋は返信する。お酒を飲むのが久しぶりで少し浮かれていた華恋は気付かなかった。零が、どこか訝しむような目でこちらを見つめていたことに……。



土曜日の夜、華恋は少し緊張しながら赤いワンピースに袖を通し、顔にメイクを施す。零以外の異性に関わるなど学生時代以来で、胸の鼓動がうるさい。

「こんなに緊張して変なの。相手は五百雀くんなのに……」

学生時代にひどい振られ方をされてわだかまりができたものの、数年の時を経て仲直りできた「異性の友達」である。

「一応初恋の人だけど、あの頃みたいにときめかないから友達だよね」