目尻に溜まった涙を拭いながらナースステーションに戻ると、看護師達がキャーキャーと騒ぐ声が聞こえてきた。看護師達に囲まれるようにして立っていたのは、背の高い外人さんだった。絵本の中から飛びでしてきたかのような金髪の眩しい王子がそこにいた。

 そんな王子が、ジッと観察するような視線を向けてきたかと思うと、声を掛けてきた。

「ハーイ。君が美桜だね。違う?」

「そ……そうですけど……」

「美桜、会いたかったよ」

 そう言って、イケメン王子が抱きついてきた。美桜は何が起こったのかわからず、イケメン王子に抱きしめられたまま固まった。

「キャーー!!」

 ナース達から悲鳴が上がる。しかし、その声が何かを楽しんでいるように聞こえるのは、私だけだろうか?

 だが、そんな事を気にしている場合ではない。私に外国人の友達も、知り合いもいない。しかし、私の名前を呼び、うれしそうに抱きついてくるイケメン王子。

 ひぇ~。

 何……一体何なのよ。

 パニック状態の美桜だったが、大きな体が美桜とイケメン王子の間に入り、引き剥がした。

「おい、マイク。お前、何しに来た」

 正悟はマイクと呼んだイケメン王子を睨みつけながら、美桜を腕の中に囲い入れる。

「わおーー。正悟、さがしていたね!」

 マイクはそう言いながら、正悟に抱きつこうとした所で、頭を正悟に鷲掴みされていた。

「相変わらず、正悟はつれないねー」

「お前が、馴れ馴れしすぎるんだ」