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 ぼんやりと霞む視線の先で、必死に私に声をかけ続ける両親の姿があった。

「美桜……美桜、目が覚めたのね。大丈夫?手術はうまくいったわよ」

 うれしそうに涙を流す母の姿を見て、無事に手術が終わった事を確認し、安堵の溜め息を付いた。

 心の何処かで思っていた。

 もしかしたら、私はもう目を覚ますことは無いのではと……。

 また、家族と過ごせると言う喜びに、美桜は生まれて初めて、喜びの涙を流した。