次に目を覚ました時には、病院のベッドの上だった。病院に来てからは皆が私を腫れ物にでも触るように話しかけてくる。それを無視し続けていると、精神科の先生がやって来た。

 悩みはあるのか、いじめられていないか、相談に乗るから話せと言う口先だけの言葉に嫌気がさす。

 相談に乗る。力になりたい。一緒に乗り越えよう。あなたは一人じゃ無い。

 何を言っているの……。

 私はずっと一人だった。

 一人で生きてきた。

 誰も頼れずに心を殺して、なんとかここまで生きてきた。

 もう、疲れた。

 だから死のうとしたのに……なぜ自分は生きているのだろう。


 ボーッと外を眺めていると、一人の少女が話しかけてきた。何度も何度も話しかけられ、何も感じることの無かった心がザワリと動く。

 ウザい。

 無視し続けても、話しかけてくる少女が、お日様みたいな笑顔を向けてくる。その笑顔が眩しくて、胸が苦しくなった。

 止めてよ。

 そんな顔で笑わないで。

 心が何かを求めてしまう。

 やっと感情を殺す事を覚えたのに、優しさに触れてしまったら、次に悲しみの底に落とされたとき、這い上がってくることが出来なくなってしまうのではと怖くなる。そう思っているのに、心にさした一筋の光に手を伸ばしてしまう……少女の笑顔に心が温かくなった。

 紬と過ごす時間が増えていく。