もう一度外来の扉を開けると、コーヒーの香りに気づいた正悟がタブレットから顔を上げこちらに振り返った。
「ああ、坂口さんか……」
「先生、今は休憩時間ですよ。きちんと体を休めて下さい。外来開始時間まで後5分しかありませんが、良かったらコーヒーでも飲んで下さい」
美桜が正悟にコーヒーを手渡すと、正悟が驚いたように瞳を見開いた。
あれ?
どうしたのかしら?
驚いた様子の正悟がポツリと呟く。
「角砂糖が3つ……」
「あれ?そういえばどうして角砂糖3つも乗せちゃったのかしら……そんなにいりませんよね。すみません」
「いや、疲れているときは角砂糖を3つ入れている」
そうなんだ。
良かった。
さてと、午後も仕事がんばるぞ。