悩む美桜の後ろから、優しく心に響く声が聞こえてきた。

「何かあったか?」

 その声に美桜が振り返ると、そこには相変わらずボサボサの髪に無精ひげ、表情の分からない長い前髪の正悟が立っていた。

「あっ……樋熊先生」

 美桜は紬からお願いされた内容を正悟に話した。

「なるほどな。シャボン玉を見せたいか……」

 正悟は少し考えてから回りを見渡すと、美桜に子供達を集めて東の非常階段前で
待つよう指示を出し、自分は何処かへと行ってしまった。
 
 どういうこと?