ずっと病院の中で過ごし、我慢していたのだから……美桜にとって、それは想定内のことだった。

 さてと……そろそろこれの出番かな?

 外に出てしばらく経った頃、美桜は用意していた袋の中から、秘密兵器を取りだした。

「みんな、集まって」

 美桜の呼び声に子供達が集まってきた。

「美桜おねえちゃん、どうしたの?もうお部屋に戻る時間?」

 眉を寄せる子供達に美桜は首を左右に振った。

「ううん、違うよ。これを使ってみんなで遊ぼうと思って」

 美桜の持っていた袋の中を子供達が覗き込みながら声を上げた。

「「「シャボン玉」」」

 うれしそうに言葉を重ねた子供達は、シャボン玉を受け取ると空高く飛ばしていく。高い空を目指し飛んでいくシャボン玉に、子供達がはしゃいでいる中、一人だけ浮かない顔の紬の姿があった。

「紬ちゃんどうしたの?」

「シャボン玉、唯人くんにも見せたいの。写真じゃなくて本物を見せてあげたい。美桜おねえちゃん、唯人くんの部屋でシャボン玉出来ない?」

 それは……。