それは一般的にドナーカードと呼ばれている物で、正式名称は臓器提供意思表示カードと言う物だった。しかし、長く覚えにくいため世間一般にはドナーカードとして広まったもので、このカードは平成9年に臓器移植法が施行され、脳死下での臓器提供について本人が生存中に、臓器提供の意思を書面で表示すというものだ。裏面には脳死と判定された死後に臓器提供したい臓器にマルで囲み記入すると臓器提供の意思があるとみなされるもので、臓器の部位は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球、その他(すべて)となっている。

 その他に臓器を提供したくないという記載もあります。臓器提供をしたくない人は『私は臓器提供をしません』という項目にマルをつける。

 なぜこのような項目があるのか?と、思う人もいるかもしれませんが、もし、身近な人が脳死判定をされたとき、本人の意思が尊重される。残された家族にとって、それは貴重な情報源となるのです。

 ちなみにマルをつけても、その下にある記載年月日や署名がぬけていると、完全な意思表示とみなされないため注意が必要となります。

 美桜はドナーカードを見つめ溜め息をついた。美桜のカードに記載されているのはただ一つ、それは……。