「いやー」「くまー」「熊ー」とパニック状態の子供達の声が聞こえてくる。

 えっ……何?

 くま……熊?

 何で病院に熊?

 脳内に疑問符?を浮かべながら談話室へと急ぐ。するとそこには黒くて大きな何かが、のそりのそりと動いているのが見えた。

 あれは一体何なの?

 まさか本当に熊?

 そう思ったその時、熊と思われたその人物が振り返った。

「樋熊先生!!」

 美桜が思わず叫ぶと正悟がのそりと、まるで本物の熊のように立ち上がった。

 うわーー。本物の熊みたい。

 樋熊正悟(ひぐましょうご)35歳の身長は190センチと大きく、肩幅や、胸板、全ての骨格が大きく、しっかりしている。平均の日本人男性とは体格がまるで違う。そのためか、小さな子供達は得体の知れないこの大きな人間を、熊に間違えてしまったようで、このような騒ぎとなっていた。

「みんな大丈夫よ。この人は今日からここで先生をしてくれる、樋熊先生だよ。クマじゃ無いから安心して」