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 それから半年後、青い青い空の下、美桜と正悟は沢山の人達に祝福され、フラワーシャワーを浴びていた。

「先生おめでとう!」

「せいの!!」

「「「美桜お姉ちゃん、おめでとう」」」

 子供達が声を合わせておめでとうの言葉をくれた。

 その言葉に心がほっこりとした。

 ここは病院の中庭、明日が美桜と正悟の結婚式の予定だったのだが、式に主席出来ない子供達が、サプライズで今日結婚式をしたいと言い出したらしい。美桜と正悟に気づかれないよう準備を進め、ウエディングベールに、ブーケ、フラワーシャワーまで用意してくれた。


「みんなありがとう」


 美桜はうれしくて、涙を流した。それを正悟が指で払い、見つめ合っていると福田が慌てた様子で声を荒げた。

「ちょっと、ちょっと、子供達が見てるんですから、それ以上はダメ出すよ」


 その言葉に正悟が口角を上げた。

「わかっている」

 そう言って、美桜の頬にキスをすると子供達から「きゃー!」と、うれしそうな悲鳴が聞こえた。その中に、紬と陽希の姿もあった。

 陽希は無事に全寮制の高校に合格し、こうやって紬に会いに来てくれている。表情も明るく、高校では友達も出来たと言っていた。そして、紬はなんと、先月ドナーが見つかり、心臓の手術を受けた。来週には退院の予定だった。


 みんなの笑顔が眩しくて、美桜も笑顔になった。



 ここは心臓の疾患のある人々が集まる、総合心臓血管センター病院。

 ここで美桜は元気に働いています。



   * fin *