正悟が美桜にプロポーズをしてから6年の歳月が過ぎようとしていた。その間に蒼(そう)5歳が生まれ、その2年後に桜子(さくらこ)3歳が生まれ、現在美桜のお腹の中に新しい命を授かっていた。

 もうすぐ家族が5人に増える。

 子供が小さいため、毎日が戦争のようだが、楽しいことばかりだ。正悟さんも休みの日にはこうして、家族サービスをしてくれる。

 大きなお腹を支えながら、公園を散歩していると、チクリと腹部を刺すような痛みを感じた。するとそこからは波のように、疼痛、無痛を繰り返す。

「正悟さん……陣痛が来たみたい」

 眉を寄せ、美桜が正悟に訴えると、正悟はすぐにタクシーを呼び家へと向かった。タクシーはそのままにし、用意して置いた分娩時の入院セットを持った正悟がタクシーに戻ってきた。

「美桜大丈夫か?陣痛の間隔は10分程度だから、ゆっくり呼吸して」

「……痛っ……っ……ふぅー……」

 正悟さんの言葉に促され、ゆっくりと呼吸する。それを見ていた、蒼と桜子が心配そうにこちらを窺っていた。

「お母さん……」

「ママ……」

「二人とも大丈夫よ。心配しないで、もうすぐ家族が増えるのよ。楽しみね」

 そう言って笑ってみせると、二人ともうれしそうに頷いた。

「「うん!」」