うそ、どうして……。

「美来ちゃん!!」

 先ほど話したときには何の症状も無かったのに……私がもっと、注意深く未来ちゃんの症状を観察していれば気づけたかもしれない。悔しさから、唇を噛みしめ、未来に駆け寄ろうとした所で、美桜はハッとした。大きな男が、苦しげに横たわる未来に触ろうとしていたからだ。

「やめなさい。触らないで!!」

 美桜が大きな声で叫ぶと、未来に触ろうとしていた男の手が、ピタリと止まる。未来に駆け寄った美桜は、未来の状態を確認する。

「未来ちゃん大丈夫?」

 声を掛けても、苦しそうに呼吸を繰り返すだけ。 

 美桜はすぐに、首から掛けていたPHSを使用して、ナースステーションにる看護師に指示をしながら、ストレッチャーを用意してもらう。

「美来ちゃん、大丈夫」

 もう一度、聞いてみるが「ハッハッハッ……」と、苦しそうな呼吸を繰り返すだけで、未来は何も答えずに、胸元をグッと握りしめている。

 先ほどより、浅くなった呼吸に美桜は焦った。

 このままでは、命の危険がある。

 そこで、看護師がストレッチャーを押しながらやって来た。二人で未来をストレッチャーに乗せ、急いで処置室に向かう。

「先生は?」

 美桜の質問に看護師が答える。

「オペ中でまだ出てきていません。研修医の先生ならいますけど……」


 そんな……。