私たちはあの時の半年間を覚えていなかった。


そして、有住 光の事も。


私の病気の事も。


何事もなかったかのように時間が流れていた。


私と光の半年間の思い出は誰の記憶にも残らずひっそりと消えた。


私の頭の片隅で光の意識は微かにある気がするのに、鮮明に思い出せないでいた。


「俐桜!行こう!」


すぅとあづが私を振り返った。


「行こう!」


私はポケットの紙に気付いてまた押し込んだ。


私の人生はこれからきっと星のように輝くのだから。