まず彼には何でも話す事、些細な愚痴でも不安でも何でも彼に打ち明ける事を約束させられた。


この約束がどう役に立つのか分からなかったけれど、どうせ死ぬのだから理解しようとしなくてもいいように思えた。


そして、彼はもう一つ私に言った。


些細な思い出、気持ちを手紙にして遺せ、と。


何も知らずに死んでいった私の遺言は届けてくれるらしかった。


すぅも、あづもきっと怒るだろうなと笑えてきた。


棺桶に向かって怒る2人が想像出来た。


もしかしたら、お葬式にすら来てくれないかもしれない。


傷付ける事なのも、怒られるような事している事も分かっていた。


でも、この大切な時間を最期まで大切に出来るように。


そのために私は彼を頼ったのだからこれでいいのだ。


それからというもの放課後は彼と過ごす事が多くなった。


彼の事を知りたいのに、彼は何も語ろうとしなかった。


毎日寂しそうな顔で私を見ていた。


その表情の答えは分からなかった。