そんな忙しない私の心とは裏腹に、坂崎さんの大きな手はいつものように私の髪をゆったりと優しく丁寧にブローして行く。
いつもはそれが心地良くて、美容師とお客さんって距離感だった時はこれがいつまでも終わらなければいいのに、なんて乙女なことを密かに思っていたけれど、今は終わって欲しいような、欲しくないような、複雑な気持ち。
だってさっきの言い方だと、髪を乾かし終わった後はきっと、そういうことになるってことだよね………⁉︎
覚悟はして来た。して来たしもちろんそうなりたいと思っているけどまだ心の準備が………!
「はい、おしまい」
「ひゃいっ」
「ふっ、ひゃいって………」
極度の緊張から変な声が出て、笑われた。
「………ミーコ」
すると私の名前を甘く呼んだ坂崎さんは、後ろからぎゅっと私を抱きしめ頭のてっぺんにキスを落とす。
うわわわわ………!こっ、これは、早速そういうムードに………⁉︎
「オレね、柄にもなく浮かれてる」
「………え?」
「ミーコが今ここにいて、浮かれてる」
予想外の言葉に、胸がきゅんと鳴った。
「………だから今日はミーコの、髪以外に触れてもいい?」
………ズルい。
そんな風に聞かれたら、もちろん答えはイエスしかない。
「………いいに、決まってるじゃないですか」
ああ、なんて可愛げのない言い方。
でも、これが今の私の精一杯だから許して欲しい。
いつもはそれが心地良くて、美容師とお客さんって距離感だった時はこれがいつまでも終わらなければいいのに、なんて乙女なことを密かに思っていたけれど、今は終わって欲しいような、欲しくないような、複雑な気持ち。
だってさっきの言い方だと、髪を乾かし終わった後はきっと、そういうことになるってことだよね………⁉︎
覚悟はして来た。して来たしもちろんそうなりたいと思っているけどまだ心の準備が………!
「はい、おしまい」
「ひゃいっ」
「ふっ、ひゃいって………」
極度の緊張から変な声が出て、笑われた。
「………ミーコ」
すると私の名前を甘く呼んだ坂崎さんは、後ろからぎゅっと私を抱きしめ頭のてっぺんにキスを落とす。
うわわわわ………!こっ、これは、早速そういうムードに………⁉︎
「オレね、柄にもなく浮かれてる」
「………え?」
「ミーコが今ここにいて、浮かれてる」
予想外の言葉に、胸がきゅんと鳴った。
「………だから今日はミーコの、髪以外に触れてもいい?」
………ズルい。
そんな風に聞かれたら、もちろん答えはイエスしかない。
「………いいに、決まってるじゃないですか」
ああ、なんて可愛げのない言い方。
でも、これが今の私の精一杯だから許して欲しい。



