指先から溢れるほどの愛を


「なに、ひょっとして緊張してんの?」


コンソールボックスに預けていた左腕を持ち上げて私の頭をぽん、とした坂崎さんに心臓が跳ねた。


「まっ、まさかっ!っていうか坂崎さんって、いっつもこういうことしてるんですか⁉︎」


でも認めるのは癪だし、それに坂崎さんばっかりが余裕で何だか悔しいから胸の音を誤魔化すように質問返し。


「ん?こういうこと?」

「お客さん誘って出掛ける、とか……」


小首を傾げるその横顔をじとりと見やれば、坂崎さんが吹き出した。


「ふはっ!なに、そのオレのチャラい設定まだ続いてたの?しないよ、そんな後々面倒くさくなりそうなこと。つーか、オレの中でミーコはもう客じゃないから」


……危ない。サラッとそういうこと言っちゃってるけど、言い方には気を付けてほしい、本当。

これは意訳すると"もう客じゃなくて友達"、ってことですよね。

月一で通って一緒にビール飲む仲ですもんね?

いつの間にか友達にレベルアップしてたんですね私。

テレレレレッテッテー。

脳内であの某ゲームのレベルアップ音が鳴り響く。