指先から溢れるほどの愛を

そして昔からずっとショートボブだった私は、この時の坂崎さんの一言で髪を伸ばしてみることに決めたのだ。

女らしい髪型は自分のキャラじゃないと思っていたのに、"熱中大陸"に出ちゃうようなイケメンカリスマ美容師に「伸ばしてみない?似合うと思うよ?」なんて言われたら伸ばしてみたくなっちゃうのも無理はない。それが乙女心ってものだ。

坂崎さんの手でまた今までにない自分を引き出してもらい大満足の私だったけれど、あろうことか彼は今回も代金を受け取ってくれなかった。


「オレは金で礼をして欲しいなんて一言も言ってない。ミーコの髪を弄らせてって言ったんだよ?」

「プロが髪を弄ったらお金が発生するのは当たり前のことです!」

「カットモデル。それなら料金は発生しない」

「それじゃあお礼になりません!」

「さっきチョコ貰った」

「あれはあくまでサブのお礼であって、メインはこっちです!」

「ったく、相変わらず頑固だな」

「そっくりそのままお返ししますけど⁉︎」

「「ぶっ、はははっ」」