体育館の方から見慣れた背格好の男子生徒が私に向かって歩いてきた。いよいよだ。
緊張で手が震える。
「麻未じゃん。まだ帰ってなかったんだ」
「ちょっと用事があって、待ってたの」
「誰を?」
「圭太を」
「俺? 何かあるなら別に部活中に来てくれても良かったのに」
部活中なんて絶対ダメだ。
そんなことしたらすぐ私が圭太にチョコをあげたって噂になっちゃう。
もし、もしもの話、フラれるんだったら極力周りにバレたくない……。
「できるだけ人がいない時が良かったから」
「ふーん、そっか。で、用事って何?」
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