思い出した。
渡せなかったカードのことも、次の日のことも全部。
翌日学校に行って、あの後圭太が部活のマネージャーに告白され付き合いはじめたのを知った。
そのマネージャーの名前は遠藤さん。
私とは正反対な可愛らしい後輩の子だった。
結婚式の招待状を見ても出なかった涙が、今になって頬を伝う。
あれから何年も経っているし、他の人と付き合ったこともある。
今でも圭太を好きなんじゃない。
なのに昔みたいに胸が張り裂けそうになってきて、苦しくなってきて。
あの時上手くけじめをつけられなかった想いが弾けた。
余計な思い出にまで浸ってしまった。
結婚式はどうするか。
ドレスなんか探したくない、なんて考えていると、メッセージカードの『好き』の文字がぼやけて消えていった。