私は文集を一度静かに閉じた。 数馬くんの文集を少し読み始めた時、幼少期の数馬くんのことを思うと凄く胸が熱くなってきて涙が溢れた。 私の知らない葛藤している数馬くん。 ピアノを弾くことはそう容易いことではなかったのに、卒業式の日はそんなことを一切感じさせずに堂々と軽やかに弾いていた。 あらためて、数馬くんの凄さを感じた。 小さい犬が怖くて。 人一倍責任感が強くて、優しくて。 幼い頃の数馬くんも全部含めて私は数馬くんのことを心底から愛おしいと感じることができた。