私が今通っているのは、なにもかもが平凡な高校。
しかしこの高校には、その平凡という言葉には似つかわしくない、ある生徒が通っている。

「きゃあっ!今見た?氷の王子が私の横を通った!」
「やっぱりいつ見てもかっこいい……」
「はぁぁぁ。いつかは王子の声も聞いてみたい。」

その名も、伊藤颯斗。
頭脳明晰で運動神経抜群、そして美形。
これらのことから女子生徒のファンは現在進行形で増え、ファンクラブまでも作られているらしい。
また、無口で無表情であることから、ファン達からは『氷の王子様』と呼ばれている。


「はぁ、にしてもみどりも大変だねえ。あんなイケメンを彼氏に持つと。」

学校からの帰り道。私の隣でそんなことを言うのは、私と小学生の頃から仲が良い宮沢由梨。私の親友である。