首取り様4

「やめるんだ!」


柏木が怒鳴ると同時に実里の手を強く引っ張った。


実里は大輔から引き離されて暴れる。


その頬を柏木が強く打った。


パンッ! と平手打ちの音が室内に響き、周囲は静けさに包まれた。


実里は呆然とした表情で父親を見上げている。


「お前たちがしたことは間違ってる」


柏木の言葉に実里の目尻に涙が溢れ出した。


それはボロボロとこぼれだす。


「なんで!? どうして? なにが間違ってるの!?」


実里からすれば地蔵たちのほうが正しい選択をしているのだろう。


自分を差別し、過去にとらわれている街の人たち。


夢に出てきて自分を責めるイケニエたち。


それらに苦しめられてきた実里にとって、地蔵の存在はすがるべきものだったのかもしれない。


「自分たちの苦しみを他人に押し付けるな」