首取り様4

「行くぞ」


刀を握りしめた大輔が大股で先頭を行く。


佳奈は咄嗟に大輔を止めてしまいそうになるが、どうにかそれを押し殺した。


「大丈夫、きっとうまくいく」


明宏に声をかけられて佳奈は頷くしかなかった。


あの地蔵の頭は美樹かもしれないのだ。


明宏は今、きっと自分と同じような葛藤を抱えてるに違いない。


大輔が地蔵の真後ろで刀を振り上げる。


それはそのまま弧を描いて地蔵の首を切り落とした。


地蔵の首はまるでスローモーションのように落下し、転がる。


それは途中まで見たことのない女の顔で、そして止まるときには地蔵の石に戻っていた。


胴体があったところには地蔵の体が立っている。


「……違った」


今回も慎也じゃなかった。


小さくつぶやいてため息をこぼす。


でもこれで2体の地蔵を元に戻したことになるのだ。


「行こう」


大輔に促されて、4人は再びあるき出したのだった。