首取り様4

それなのにこんなに寒くて嫌な空気が全身にまとわりついてくるのだ。


地蔵たちが動き出したことによって、この寺自体もなにかが変化しているような気がしてならなかった。


「とにかく、刀を探そう」


明宏に言われて、佳奈たちはすぐに寺の中を捜索し始めた。


境内はそれほど広くないし建物の中は空っぽになっている。


探せる場所はごく限られていた。


佳奈たちは建物の下を覗き込み、入れそうなほどのスペースがあることを確認した。


「私、入ってみる」


佳奈はそう言うと銃を置いてしゃがみこんだ。


床下は寝そべって移動するスペースは十分にあった。


右手でスマホを持ち、ライトで床下を照らし出す。


何年も手入れされていない寺の床下は蜘蛛の巣だらけで、ほふく前進で進んでいくのが難しく感じられた。


普段の佳奈なら絶対にやらないことだった。


顔面に蜘蛛の巣が張り付いても、野生動物もフンが目の前に転がっていても今の佳奈は全く気にならなかった。