ガラス張りになった扉はいとも簡単に砕け散り、警報音が鳴り始める。


うるさい警報音を無視して図書館の中にはいると、壁際のスイッチを適当に押して電気を付けた。


広い空間が照らし出され、4人は迷うことなく郷土資料のコーナーへと向かう。


明宏が考えていた通り、そこには街の歴史を彩るための地図も保管されていた。


その中で最も最近の平成時代の地図をテーブルに広げた。


ところどころ新しく建設されたビルや、なくなった施設も記載されているがおおかた今の街と同じような地図だ。


幸いその地図には一軒一軒の名字まで書かれていた。


アパートやマンションなどでは個人名はわからないが、昔から暮らしている一家の名字ならこれで十分だった。


「思ったとおり、柏木は2件しかない」


明宏が地図上を指差して言った。


その2件は親戚同士のようで、家も隣り合って建っている。


これなら探し出すことは簡単そうだ。


更に柏木家は図書館からそう遠く離れていない場所にあることがわかった。


どうやら風は自分たちにとって追い風になってくれているようだ。