大輔は目から視線をずらして地蔵の鼻先を見つめた。


さっきみたいに硬直して動けなくなるようなことには、二度とならない。


「もしも地蔵が死んだら。その首は元に戻るのかな」


佳奈が呟くのが聞こえてきた。


一瞬緊張感が薄れるが、すぐに気持ちを切り返る。


恋人である慎也の首が地蔵についているのだ。


地蔵が死んだ後のことが気になるのは当然のことだった。


だけど今は目の前の地蔵に集中したい。


なによりも、この地蔵を殺せるとは到底思えなかった。


地蔵が動き出すとほぼ同時に大輔は猟銃を発砲していた。


凄まじい音と衝撃に、体が後方に飛ばされそうになる。


重心を下に移動させ、両足を踏ん張り、どうにか飛ばされずにすんだ。


玉はまっすぐに飛んで地蔵の胴体にぶつかった。