首取り様4

☆☆☆

それから佳奈たち6人と智子たち5人は図書館へ来ていた。


郷土資料のコーナーへ向かい、持ち出し禁止のファイルを開く。


ファイルのクリップを開いて、佳奈はそこに新たなページを挟んだ。


自分たちが経験したことを忘れないうちに書き記したものだ。


それは膨大な寮に及んでいたが、どうにかファイルに止めることができた。


「このファイルはこうして更新されていくのかもしれないな」


明宏が呟く。


きっと、そうなのだろう。


自分たちが知らない間に地蔵のイケニエが生まれ、そして戦ってくれているかもしれない。


それをこうして残しておくことで、自分たちも知ることができる。


「もしも地蔵を倒すことができなかったらどうなってたんだろう」


図書館の外へ出てから美樹が呟く。


「この街は壊滅して、人は元には戻らない」


智子が答えた。