首取り様4

☆☆☆

「死んだ人も全員元通りになったんだね」


荒れ果てた三福寺で、佳奈はつぶやいた。


今日は佳奈が持っていたお守りを返しに来たのだ。


祖母の形見だったけれど、これはもう持っているわけにはいかなかった。


「自分が死んだなんて、思ってもいないんだろうなぁ」


慎也が苦笑いを浮かべて答える。


慎也も美樹も自分たちが地蔵だったときの記憶を持っていた。


けれどその記憶は日を重ねるごとに薄れていき、やがて消えてしまうだろう。


「私たちは絶対に記憶が消えたりしないけどね」


冷めた声で言ったのは智子だった。


この街の復讐に手をかした5人も戻ってきた。


しかし記憶はしっかりと刻み込まれて消えることはない。


それが祖先が首取りであった智子たちの背負う、宿命だった。