首取り様4

バランスを崩した美樹の手から、男の子が逃げ出す。


美樹は表情の消えた目で明宏を見つめた。


「お願いだ美樹、もうやめてくれ! 目を覚ましてくれ!」


美樹はユラリと揺れて明宏に近づいていく。


そして両手を伸ばしてその首をつかもうとした。


明宏が今にも泣き出してしまいそうに顔を歪める。


そして「ごめん」と呟くと美樹の後方に回り込んだのだ。


後ろから美樹の体を羽交い締めにする。


「大輔、やってくれ!」


追いかけてきた大輔が刀を振り上げる。


「やれぇぇぇぇ!!」


明宏の叫び声がグラウンドを揺るがし、美樹の頭がドッと音を立てて転がり落ちたのだった。