そんなことをしなくても人間を殺すことは容易いはずなのに。


「一生は医者になりたかった。包丁をメスだと思ったのかも」


春香がポツリとつぶやいた。


「え?」


「今までの地蔵と違うのって、頭部の感情が混ざっているからかもしれないと思ったの」


春香の言葉に佳奈は目を見開いた。


あんな状態になっても一生は自我が残っているということだろうか?


そう考えて当てはまることを思い出した。


首が元に戻った実里と翔太も、地蔵になっていたときの記憶を持っていた。


ということは、完全に自分でなくなっていたわけでもないのだろう。


一生の場合はそれが強く現れているのかも知れない。


だとすると……。