首取り様4

5人で結託して地蔵の手助けをすると決めた。


あのときの気持を踏みにじられた気がした。


「なんで、そんなこと言うの?」


声が震えた。


悲しくて、悔しくて、やるせなくて。


「地蔵になっていたときの記憶が少しだけ残ってる。僕は小さな子どもと母親を引き離して、そして両方とも殺した」


翔太の言葉に実里はビクリと体をはねさせた。


実里もまだ覚えていた。


自分の手が小さな子どもを殺したこと。


足の悪い老人を引き倒し、その首をへし折ったこと。


実里は知らず知らず自分の両手を見下ろして小刻みに震えていた。


思い出したくないのに、殺した人たちのぬくもりや脳内に響く悲鳴を思い出してしまう。


「うっ……」


気がつけばボロボロと涙がこぼれだしていた。


それは止めることができなくて自分の両手を濡らしていく。


嗚咽が喉から漏れて情けないくらいだ。


「お願いです。助けてください」


翔太はまた4人へ向けて深く深く、頭を下げたのだった。