「本当なら手術で使う針と糸も扱えるんだ。けどこの化け物は皮膚が分厚い。だからデカイ針と糸を使ってるんだ」


亮一が補足するように説明した。


本当のことなんだろうか?


いや、今はそんなことはどうでもいい。


あっという間に継ぎ接ぎだらけにされた化け物に佳奈は吐き気を覚えた。


「この化け物の体の中には臓器らしい臓器がないんだ。あってもそれは見かけだけで、機能していなかった」


縫合しながら一生が言う。


そんなことを説明できるということは、昨晩も同じようにして過ごしていたのだろう。


「こいつら狂ってる」


大輔は吐き捨てるようにそう言い、大股でその場を後にしたのだった。