いくら化け物相手だからってヒドイ!


そう喉元まで出かかる。


拷問される化け物を見て智子は大声を上げて笑っていた。


さも楽しそうに、狂ったように。


「穴だらけじゃん!」


次々と穴が開けられる化け物の顔。


それを見ていた一生が袋の中から糸と針を取り出した。


それは通常のものよりも大きくてミシンにつけて使うものらしかった。


糸を針に通した一生は化け物に近づき、穴の空いた箇所を縫い合わせ始めた。


化け物は無様にのたうち回る。


「じっとしてろよ。今縫合中なんだからよ」


一生は真剣な表情で縫い針を動かしていく。


その手の動きは思っていたよりも繊細で、そのギャップに佳奈は頭の中が混乱しはじめていた。


「一生の手付きはすごいでしょう? 将来、医者になるんだよ」


智子がまるで自分のことのように誇らしげに言う。