亮一は猟銃の銃口で大輔の頭部を押さえつけた。


グリグリと力を込められて痛みが走る。


それでも大輔は耐えた。


本来ならとっくに切れていてもおかしくないのに、グッと奥歯を噛み締めて我慢する。


「どうか……お願いします……」


銃口を突きつけられたままで懇願を繰り返す。


それはまるで命乞いをしているようにも見えた。


「まだ言うのかよ。本当に撃ち殺すぞ?」


亮一が大輔にしか聞こえないように小声でそう脅したときだった。


街に朝日が差し込んできた。


その眩しさに佳奈はハッと息を飲んで顔を上げる。


山の向こうから黄色い光が街を包み込んでいて、その光はここまで照らし出している。


「朝だ」


一生が静かな声で言い、亮一がようやく銃口を下ろした。


大輔が肩で大きく深呼吸をして顔を上げる。


朝日は首無し地蔵も照らし出す。


そこに浮かび上がってきた地蔵には、4つ目の首がしっかりとついていたのだった。