自分をイジメて、蔑んできた人間たちを一網打尽にすることができるのだ。


これはまたとないチャンスだと考えるかもしれない。


その反面で首がついてしまった人たちは智子と時間を共有してきた友人らに違いない。


それぞれに苦難を抱えていたとしても、一緒に頑張ってきたはずだ。


そんな友人らを見捨ててしまうのは佳奈には理解できなかった。


空を見上げると随分と白みがかってきている。


夜明けまでもうほとんど時間がない。


せっかく首を見つけたのに、これではなんの意味もなかったことになってしまう。



「お前らの言い分はよくわかった。でも今は首を運んでくれ!」


強い口調でそう言って頭を下げたのは大輔だった。


誰かに頭を下げてなにかをお願いするようなタイプではないので、佳奈は驚きで目を丸くした。


隣に立っていた春香が慌てて同じように頭を下げる。


それに釣られるようにして佳奈と明宏も3人へ向けて頭を下げた。